帝王切開とは?産前の準備・入院から産後のこと・費用まで詳しく解説!

今回は予定帝王切開の方へ、帝王切開の準備や手術前に知っておくと安心なことをご説明していきます!帝王切開=手術。手術と言われるとみんな不安や心配を抱えるかと思います。未知の世界だと余計に不安になりますよね🥲?ですので是非、帝王切開がどんな流れで行われているのか?検査・準備・持ち物など、私が大学病院・総合病院・産院に勤めてどこの施設も同じだったことをまとめてみました!

帝王切開の準備

骨盤位・横位(逆子や横向き)、子宮の開腹手術の既往がある、

帝王切開をしたことがあるなど、様々な理由で行われます。

予定帝王切開の適応

・胎位異常(骨盤位・横位)

・既往帝王切開、既往子宮手術

・子宮筋腫合併(子宮筋腫により経膣分娩の際に胎児が通過できない可能性がある)

・前置胎盤(全前置胎盤、辺縁前置胎盤、低置胎盤)

・前置血管

・多胎(2人以上胎児がいる)

・児頭骨盤不均衡(胎児の頭が母体の骨盤を通過できない)

・巨大児(赤ちゃんが産道を通過できない可能性があるぐらい大きい)

・母体の基礎疾患(陣痛に耐えられない持病がある)

・重症妊娠高血圧症候群(経膣分娩により血圧上昇し合併症の可能性などの重症化の恐れがある場合)

・母体感染症(母子感染、産道感染の可能性がある場合)

・胎児異常(経膣分娩に耐えられないような異常がある)

予定帝王切開は予め帝王切開を予定する日を妊娠中から決定しておきます。

(多くの方は妊娠37〜38週くらいまでの間で、赤ちゃんが成長していて

自然に陣痛や破水が起きにくい予定日よりも早い時期に予定されます)

妊娠34〜35週の時期に術前検査(じゅつぜんけんさ)を行います。

♦︎ 採血・採尿

♦︎ 肺のレントゲン(お腹に鉛のシートを装着して検査をするので赤ちゃんへの影響はありません。)

♦︎ 心電図

これらを検査して手術に耐えられる体かどうかを評価していきます。

術前検査で異常が出ても、基本的に手術が行えるように、

異常があった場所の専門の医師に診察してもらい、検査や治療、経過観察をしていきます。

帝王切開の手術は医師からご本人とご家族に

手術にの方法や合併症のリスクについての説明を受けていただき、

ご本人とご家族の同意を経て行われます

そのため妊婦健診時や入院した日(もしくは手術の当日)に

医師からご本人とご家族に説明があり、手術の同意書にサインを記入します。

医師からの説明日と手術当日は、

ご家族お1人出産施設に来れるように予定をあけておきましょう。

確認しておきましょう!

手術の予定が決まったら説明を聞く日を確認しておきましょう。

(ギリギリにならないと教えてくれない施設もあります)

入院当日のスケジュール

入院は基本的に手術の前日となります。

《入院当日にすること》

・入院オリエンテーション

・手術前後ののスケジュールの説明

・NSTモニター(赤ちゃんがの元気度やお腹の張りを確認)

・剃毛(お傷ができる付近の毛を処理)

・その他の準備 (お預かりするものやお渡しするものなど確認)

・シャワー、洗面

・夕食

※ アナウンスされることが多いですが、食事・水分が摂れる時間を確認しておきましょう。

多くの施設では…

♦︎食事:手術前日21時〜翌0時まで ♦︎水分:手術当日朝6〜7時まで

のような時間を指定されることが多い印象です。

帝王切開前に準備しておくこと

♦︎ 指輪やアクセサリー類は外しておきましょう

 (出産施設でなくさないように大切に保管しておきましょう)

 指輪などの金属類のアクセサリーをしていると、電気メスを使用した際に火傷をする場合があります。

 また、点滴側に指輪をしていると指が浮腫んでしまった場合、血が通わなくなってしまう可能性があります。

 指輪が外れなくなり、危険が及ぶ際は大切な指輪やアクセサリーを壊さなくてはならないこともあります。

 急に外れないこともあるため、妊娠後期には外しておきましょう。

♦︎ ネイルは外しておきましょう

 ネイルは体内の酸素飽和度(SpO2)を計測する際の妨げとなります。

♦︎ まつ毛エクステ

 していても大きな問題はありませんが、手術中に全身麻酔に切り替わった際に、

 まぶたにシールを貼られてしまうことがあり、まつ毛が抜けてしまう可能性があります。

♦︎ 剃毛(ていもう)※出産施設のスタッフが行ってくれます

 手術のお傷になる部分に体毛がある場合、手術の妨げとならないようにあらかじめ体毛を剃っておきます。

 ご自身で剃毛したい場合は恥骨ライン(お臍から垂直にたどっていくと当たる下腹部に触れる骨)まで

 処理しておくとお傷や術後に貼られるテープが体毛に被らずに安心です。

 見えにくい場所なのでお腹に傷をつけないように注意しましょう。

 電気シェーバーで行うと安全に行えます。困難な場合は出産施設で処理してくれます。

♦︎ 術後に初めて飲めるものはお水かお茶です

 ペットボトルのお水やお茶を数本持ってきておきましょう。

♦︎ペットボトルのストロー付きキャップ

 横になりながら飲む際にこぼれずに便利です。

♦︎メガネとメガネケース(視力が悪い方)

 裸眼で見えない場合は、メガネを着用します。メガネとメガネケースを持参しましょう。

便利グッズ

♦︎延長コード or 長めのスマホ充電器

 出産施設のコンセント差し込み口は意外と遠かったり・・・

 長めのものがあればベッド上で充電しながらスマホ操作ができます。

 産後は意外とご家族や友人に連絡するタイミングが多くスマホの利用が多くなり

 充電がなくなることも多々。充電器は必需品です。

♦︎S字フックとミニトートバッグ

 よく使う必要なものをトートバッグにまとめてベッドの柵にひっかけておくと、

 術後の痛みがあるときに必要なものがすぐに取り出せるので便利です。

 術後はベッド上でしか過ごせず、助産師へものを取ってほしいなど言いにくいため、

 このように準備しておくと安心です。

手術の当日

《手術当日の準備》

♦︎当日朝にシャワーが可能な場合は入ることができます(施設により相違あり)

♦︎手術着に着替える(中はショーツのみ着用)

♦︎お化粧やアクセサリーはしない

♦︎コンタクトははずす(裸眼が見えなければメガネへ)

♦︎NSTモニターで赤ちゃんの元気度を確認

♦︎水分の点滴を開始する

 太めの点滴の針なので点滴を入れるときは痛みがあります。

 点滴中は血管内に細いチューブしか残らないため動かしても大丈夫です。

♦︎予定の時間までにトイレをすませておく

赤ちゃんの産まれたてお写真はスタッフが撮るのか?ご家族が撮るのか?

施設によって異なりますので確認しておきましょう。カメラの充電もお忘れずに!

赤ちゃんの欲しい写真などをバースプランに書いておくと、出産施設のスタッフに叶えてもらえやすいです。

例えば…_

・赤ちゃんの体重計に乗った写真が欲しい

・赤ちゃん、パパママの3人で写真が撮りたい   など。

手術の時間になったら助産師と歩いて一緒に手術室へ行きます。

手術室


手術の時間になったら助産師と歩いて手術室に入室します。
入室するときは専用のキャップを被り髪の毛を覆います。
手術室の看護師さんと名前や術式を確認
(患者さんの取り違えがないかを、お名前、生年月日、診察券番号、血液型などで

ご本人かどうかを確実に確認します)

《 麻酔の導入 》
帝王切開の麻酔は腰椎麻酔という方法で麻酔します。
背骨の中にある痛みを感じる神経にお薬が届くようにお腰から注射をします。

手術台に横になったら横向きになり背中を丸くするような体勢になります。
表面の麻酔をするときだけチクッとします。
その後は麻酔のお薬を入れて終了。早いと5〜10分以内で麻酔が入ります。

仰向けになり麻酔科の医師が麻酔が効いているかを確認します。
冷たいか冷たくないかで確認します。
冷たくないと感じたら効いている証拠です。
※手術中は触られている感覚は残ります

《 麻酔が効いているのを確認したら帝王切開の準備へ 》
麻酔が入ったら、仰向けになります。
⇒下半身の感覚が一気になくなり、膝立ても出来なくなります。

尿の管・血栓予防のフットポンプを付けます。
(仰向けで気分が悪くなる方もいらっしゃるので近くにいる麻酔科医師や私たちに教えて下さい。)

産婦人科医師がお腹の部分を消毒します。
お腹だけが見えるような布がかかります。
ここからようやく手術開始です!!
※施設により麻酔も産婦人科医師が行う場合があります。

 

《 手術開始 》
いよいよ手術が始まります。
手術が開始されてからは赤ちゃんがいる子宮に到達するまで5分前後です。

赤ちゃんを出す時に、子宮のてっぺんから押し出すので、お腹を押されます!

そして無事に赤ちゃん誕生!となります💖

赤ちゃんが産まれたら、産婦人科の医師が先生が臍の緒を切って助産師へ受け渡し
助産師が赤ちゃんを綺麗に拭いて、羊水などを取り除きながら呼吸をしやすくします。

その後ママに面会しに行きます👶🏻💕

赤ちゃんは一足先に保育器や赤ちゃん専用のベッドに乗って新生児室へ戻り、
体重・身長・頭囲・胸囲や検温などをして健康状態をチェックしています。

赤ちゃんが産まれたあとは胎盤が出てきます。

産婦人科医師がお傷を縫い合わせて閉じます。
最後にお傷を保護するためのテープを貼ります。

体の中にガーゼや手術器具が残っていないかを確認するために
お腹のレントゲンを撮って手術終了となります☺️✨

(レントゲンは実施する施設と実施しない施設があります)

ストレッチャーやベッドでお部屋に戻ります。
ここまでが手術室での流れとなります。

帝王切開は立派な出産🤰✨! 

赤ちゃんが産まれてくるというおめでたい手術は帝王切開だけですね♡

手術という恐怖や不安もあるかと思いますが我が子の誕生と産声が聞ける幸せな時間でもあります🥰

施設によっては、好きな音楽🎶がかけられたり、
旦那さん👨🏻の立ち会いやカンガルーケアができたりする施設もありますので確認してみましょう♪

手術室では麻酔科の医師や手術室の看護師さん、助産師が近くにいますので、
不安や心配、気分が悪いなどがあればいつでも声をかけて大丈夫です🙆‍♀️✨

術後のこと

帝王切開は手術が終了すると、ストレッチャーかベッドでお部屋に戻って来ます。
基本的に術後当日はベッド上で横になって安静になります🛏。

助産師や看護師が、術後の全身状態を確認しに来ます。

体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2、子宮底、出血、創部、お腹の音、尿量など
はじめのうちは30分〜1時間に1回、その後問題が無ければ2〜3時間おきなど、時間を空けてチェックをします。

体には、心電図・SpO2モニター、尿のお管、点滴、血栓予防のストッキングやフットポンプが装着されており、
身体が少し動かしにくい状態になります😥。

医師や助産師、看護師の許可があれば寝返りをすることができます。
夜間も点滴な尿量などを確認しながら、身体の水分量を調整しています。

帝王切開の術後に最も大切なのは、子宮が元に戻ってきているか?
出血は多くないか?
を確認することがとても大切です。

《子宮底(しきゅうてい)とは?》
子宮の上端部の部位。
妊娠により大きくなった子宮は、産後は子宮が元の大きさに戻ろうとします。
胎盤が剥がれたところには多くの血管があり、子宮が小さく縮むことで止血されます。

硬く小さく縮まないと止血が上手くいかず、産後の出血が増えることがあるため、
下腹部をマッサージをしたり、アイスノンで冷やしたり
子宮の収縮をするための点滴を使用することがあります。

下腹部のマッサージは、麻酔が切れると痛みを伴います。

術後の痛み止め

帝王切開の麻酔は術後1〜3時間後にはだんだん効果が切れてきて、
どちらかの足から動くようになります。
感覚が戻ってくるときに、正座をした後のような痺れを感じる場合があります。

痛み止めは痛みがMAX(最大)になってから使用するよりも、
痛みが5〜8割ぐらいになってきたところで使うと効きやすいイメージです。
痛みが辛い時はナースコールをして、痛み止めを使用してもらいましょう。

◎よく使われる痛みの表現のスケール

NRS(Numeric rating scale)

痛みが全くない状態を0、痛みが最大な状態を10として数字で表現する方法。

代表的な痛み止めの種類

アセリオ(点滴) ••• アセトアミノフェンを有効成分とする解熱鎮痛剤。

           使用後は4時間以上あけて使用する

ロピオン(点滴)••• フルルビプロフェン アキセチルを有効成分とするNSAIDs。

           使用後は6時間以上あけて使用する。アスピリン喘息の人は禁忌。

ソセゴン(点滴or筋肉注射) ••• ペンタゾシン。オピオイド受容体部分作動薬。

                使用後は6時間以上あけて使用する。

ボルタレン座薬 ••• NSAIDsのジクロフェナクNa。使用後は6時間以上あけて使用する。

           アスピリン喘息の人は禁忌。


硬膜外カテーテル(麻酔) ••• 背骨の中にある硬膜外という場所に細い管を入れ、

               持続的に微量ずつ麻酔薬や麻薬が入る方法。

               外施設によりやるかやらないか異なる 

IVPCA(点滴) ••• 点滴の横から麻薬を微量ずつ持続的に入れる鎮痛剤。

          施設によりやるかやらないか異なる


などがあります。
出産施設のスタッフと相談しながら使用しましょう。

※痛み止めは痛みを軽減するものであり、痛みがゼロになることはありません
 痛みを軽減しながら過ごしていきます。

術後の過ごし方

《 母子・家族面会 》
帝王切開の立ち会い(手術室まで入れる)施設と、

お部屋や面会エリアでの面会ができる施設があります。

ご自身の出産施設のルールを事前に確認しておきましょう!

《 水分・食事 》
術後6時間〜翌朝にかけてお水が飲めるようになります。

朝一の手術の場合は夕方から食事を開始する施設もありますが、
大半は翌日朝〜昼に食事開始となります。

子宮は腸の近くにあり、手術中に触れる場所でもあるため、
腸が動きにくくなるリスク(腸閉塞)があります。
そのため、術後の食事は重湯から始まり徐々に普通のお食事に戻っていきます。

《 術後1日目:早期離床 》
手術の翌日を術後1日目と言います。

血栓や腸閉塞などの術後合併症を防ぐために手術の翌日から安静が解除され、

起き上がったり、歩いたりします(早期離床)。

血栓予防のフットポンプなどを外し、歩けたら尿の管が抜けます。

助産師と一緒に身体を拭いて着替えをします。

この日はトイレに行く、洗面をするなどのご自身のことができればOKです!

術後1日目は育児は始まりませんが、赤ちゃんと面会することができます。

点滴が終了してしまうため、痛み止めはロキソニンやカロナールの内服や座薬の使用になります。

◎ 起き上がり・立ち上がり方・歩き方のポイント

起き上がり、立ち上がりのポイントは、なるべく手と足の力を使います。

ベッドが電動で動く場合は、リモコンでベッドを起こして起き上がり、ベッドの端に寄ります。

足を下ろして、ベッド柵などにつかまりながら座ります。

ベッド柵や点滴棒につかまり、足は踏み込みながら立ち上がります。

少し前かがみになりながらゆっくり歩くと歩きやすいです。

ベッドに戻るときは、ベッド柵などにつかまりながらゆっくり座ります。

ベッドの背もたれにもたれながら片足ずつゆっくりベッドに上げていきます。

ベッドの真ん中へ移動し、ゆっくり背もたれを調整していきます。

《 血栓予防の皮下注射 》

妊娠中〜産後直後は出産による出血を止める役割が強く現れ、同時に血栓ができやすい体になっています。

帝王切開をすることで、手術によるリスクや安静によるリスクが加わり、より血栓ができやすい状態になります。

多くの施設では術後合併症である血栓(エコノミークラス症候群)の予防のために、

血液をサラサラにするための皮下注射を1日2回腕やお腹に実施します。

薬剤はクレキサンやヘパリンCaが使用されます。

《術後2日目》

術後1日目より動き方のコツが掴めるようになり、身体も少し楽になってきます。

食事の形態も少しずつ普通のものに戻っていきます。

シャワーにも入れます。


多くの出産施設では術後2日目から育児が開始します。

体調が完全ではなかったり、お傷の痛みがあるため、助産師と相談しながらゆっくりで大丈夫です!

抱っこ・おむつ替え・授乳などの練習が始まります。

この日は上手くできなくても「こんなやり方なんだなあ」とわかればOKです。

《 術後3〜5日目 》

主に育児の練習をしていきます。

施設にもよりますが、母子同室なども行えます。

ママが抱っこ・オムツ替え・授乳の一連の流れを実施できるようになります。

沐浴指導(赤ちゃんのお風呂の入れ方)や退院指導(退院後の生活について)などがあります。

《 退院 》
多くの出産施設では術後5〜7日目の退院となります。 

退院前に創部のチェックや診察があります。

この頃には、痛み止めを内服しながら育児も少しできるようになって退院となります。

このようにして、術後を過ごしていきます。
なかなかイメージがつきにくいかもしれませんが、
少しでも事前に流れを知っておくと、安心に繋がるかと思います☺️💡

お傷のケア

帝王切開術後の傷あとのケアについてのお話です。

傷あとケア、意外と知らない方が多く、私もよく退院前のお母さんたちにお伝えしています。
帝王切開のお傷の詳しいことや、できるだけきれいに治すための早めの対応についてご紹介します。

傷あとってなかなか見れない方もいらっしゃいます。

傷が残るって例え出産とはいえ良いイメージでは無いと思います。

皆様には少しでも早くからケアをしてきれいに治して頂ければ、

帝王切開のイメージももう少し良くなるんではないでしょうか

帝王切開の傷には横切開と縦切開があります。

可能な場合は横切開が傷が目立ちにくいため、施設に確認してみましょう。

(リスクのある帝王切開の場合は縦切開になります)

傷の縫い方は可能な場合は”埋没法”が綺麗に治りやすいです。

ステープラーという医療用ホチキスの場合はホチキス穴の跡が残りやすい印象です)

《 横切開 》

傷あとは恥骨の上で下着に隠れて目立ちにくいです。ケロイドになることも少ないと言われています。

予定帝王切開でリスクの少ない方は横切開を選択される方が多いです。

術後の痛みが強いと言われ、術後は傷口付近の感覚が鈍くなってしまうことがあります。

《 縦切開 》

お腹の中がよく見えるため、赤ちゃんを素早く取り出すことができる利点があります。

そのため、緊急帝王切開時に選択されることが多くなります。

また、出血のリスクがある常位胎盤早期剥離や前置胎盤、巨大子宮筋腫などを合併している場合にも選択されます。

術後の傷の痛みは少ないとされていますが、傷あとがお臍の下から恥骨上まで残るため、

目立ちやすいことが欠点です。

ケロイド(傷の跡が赤く盛り上がった状態)にもなりやすく、目立つことが多くなります。

《 帝王切開のお傷 》

帝王切開は、赤ちゃんと胎盤を取り出した後、子宮とお腹の傷をそれぞれ縫合します。

溶ける糸(吸収糸)で子宮の切開部を縫合し、続いておなかの傷を縫い合わせます。

皮膚の縫合には吸収糸やステープラー(医療用ホチキス)が使われます。 

術後入院中はカラヤヘッシブという傷パワーパットのような透明防水フィルムが貼られています。 

退院時にカラヤヘッシブを剥がして消毒し、ステリストリップという傷を寄せるテープを貼る施設もあります。

施設により抜糸が必要な施設と抜糸がない施設があります。

傷は、術後から3日程度で閉じ始め、2週間〜1カ月程でしっかり閉じていき、次第に肌の色に近くなっていきます。

治る過程で赤みや痒み、チクチクするような痛みが生じることがあります。

退院後のシャワーの際は傷口は擦らずに優しく泡で洗う程度にしましょう。

激しい運動や衝撃(上の子が突進してくるなど)を与えなければ、普通の日時生活を送る分には差し支えありません。

《 帝王切開傷あとケア 》

お傷は洗わないなど不潔にしていると感染を起こしてしまう可能性があります。

体質(遺伝的要因など)や、物理的刺激(皮膚が引っ張られる伸展刺激、衣類のこすれなどによる摩擦刺激、

紫外線など)により、肥厚性瘢痕(元の傷に沿って盛り上がり赤みや痒みを生じる状態)、

ケロイド(元の傷の範囲を超えて赤みと盛り上がりが広がり痛みや痒みが生じる状態)など、

炎症が継続してしまい、赤く盛り上がった目立つ傷跡になる可能性があります。

傷あとをできるだけ目立たなくするには、術後から傷あとのケアが大切です。

下腹部は日常生活で力を入れることが多く、それにより皮膚や筋肉が引っ張られるため、

傷あとが肥厚性瘢痕やケロイドになりやすいといわれています。

術後1年が過ぎても傷あとに赤み、硬い、盛り上がっているなどの場合は、

形成外科や皮膚科などの専門医に相談しましょう。

傷跡の状態により、内服、ステロイド外用薬、注射、放射線、レーザー治療、手術などの方法で

治療することがあります。

《 帝王切開傷あとケアグッズ 》

退院後〜1ヶ月以内になるべく使い始めましょう。しっかり使うことで傷あとが目立ちにくくなります。

◎ ニチバン Atofine傷あとケアテープ

  3日〜1週間に1回交換・6枚入り 約1500円

◎ ギネマム Lady Care16

約2ヶ月洗って使用できて2枚入り 約5500円

帝王切開のよくあるQ & A

帝王切開のよくあるご質問についてQ & A方式でお伝えしていきます💡

① 帝王切開で出産したら、 次回の出産も帝王切開ですか🤔?

大半の出産施設では帝王切開となります。

少数派にはなりますが、TOLAC(トーラック)と言い、

いつでも帝王切開ができる状況下で、経腟分娩を試みることができる施設もあります💡

② 帝王切開は何回までできますか🤔?

基本的に3回までとされています。

傷の部分の子宮が薄くなり、子宮破裂のリスクが高まります。 

また、癒着(ゆちゃく)といい臓器と臓器がくっつきやすくなり、手術に時間がかかったり、

出血が増える場合があります。

妊娠の間隔は、通常1年以上は空けることをお勧めします。

③ 麻酔をする時は痛いですか?手術中はどんな感じ🤔?

腰椎麻酔をするための局所麻酔の注射に痛みがあります。

腰椎麻酔は効き始めると、お腹から下の痛みがなくなり下半身を自力では動かせなくなります。

手術中、触られている感覚は残ります。

手術室の看護師や麻酔科の医師が近くに居るので、気分が悪い時や何か伝えたいときは声をかけて大丈夫です。

④ 麻酔はどれくらいで切れますか🤔?

平均2〜3時間で効果がなくなってきます。

正座をした後のような痺れがあり、どちらかの足から動かせるようになってきます。

傷の痛みや後陣痛の痛みが出てくるため、痛みがかなり強くなる前に痛み止めを使い始めることをお勧めします。

⑤ 帝王切開後の回復は?どれくらいで歩けるようになりますか🤔?

手術当日はベッド上で安静となります。

術後合併症予防のために1日目(手術をした次の日)から歩きます。

はじめはなるべくお腹の力を使わないように手と足の力を使い、何かにつかまりながら動きます。

2〜3日すると痛みも少しずつ良くなり、動き方のコツもつかめるようになります。

⑥ 帝王切開のお傷は何cmぐらい🤔?

約10cmぐらいです。赤ちゃんの頭が出てこれるくらいの長さになります。


⑦ 帝王切開後何日目からシャワーに入れる🤔?

基本は2日目から入れる施設が多いです!

お傷には防水のテープが貼られているので安心して入ることができます。

湯船に浸かれるのは傷や子宮内の感染予防のため、1ヶ月健診以降となります。

⑧ 帝王切開のお傷は抜糸はありますか🤔?

出産施設によりお傷の閉じ方が異なります。

埋没法の場合は体の中で溶ける糸で縫合するため抜糸はありません。

ステープラーというホチキスのようなもので止めてある場合は退院前に抜鉤(ばっこう)があります。

抜鉤はチクチクする程度の痛みです。

帝王切開の費用

帝王切開の手術にかかる費用はどこの病院で出産をしても同額となります。

予定帝王切開の場合は20万1,400円

緊急帝王切開の場合は22万2,000円

医療保険の適応となるため、3割が自己負担となり、約6万円の費用となります。

しかし、お食事代や個室料金などの差額ベッド代、分娩介助料、検査料(帝王切開に関係しない部分)などは保険適用外になり、全額自己負担です。

帝王切開も出産育児一時金が給付されます。

出産育児一時金(50万円)が給付されるため、直接支払制度に申し込むと、出産費用総額から出産育児一時金を差し引いた金額が退院時のお支払い金額となります。

帝王切開により、医療費が高額になった場合、高額療養費制度を利用することができます。

医療費が収入によって決められた限度額を超えた場合に、超えた分の金額が支給されます。

この場合は市役所などで限度額適用認定証を申請し、病院に提示すると、退院時に高額療養費を超えた分のみの支払いとなります。帝王切開をする予定の方は、事前に限度額適用認定証を申請しておくことをおすすめします。

民間医療保険に加入している場合、帝王切開も対象となるプランの場合は保険金を受け取ることができます。

帝王切開となった場合は保険会社から申請書類を受け取り、出産施設で必要事項を記入してもらい申請しましょう!

保険会社によっては10万円前後給付されることがあります。

ここまで帝王切開のお話を詳しくしてきましたが、いかがでしたか?

ここまで理解していれば、どんな医療が行われているのかがわかり、

安心して出産に挑むことができます。

わからないことや疑問点などございましたらコメント欄やお問合せにて

メッセージくださいね😊

みなさまが、安心・安全な出産ができますよう応援しています!

MW Yama

MW Yama

現在助産師経験12年目。 BlogやInstagramを中心に妊娠・出産・子育てについての情報をお届けしたり、 ご希望の方に向けてオンラインにて個別にサポートをしております。 安心・穏やかで幸せな妊娠・出産・子育てとなりますよう みなさまのお気持ちを尊重し、愛と優しさを持ってサポートしております。

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