誘発分娩とは?陣痛促進剤とは?点滴だけでなく、頸管拡張やプロウペスなど様々な方法を解説。リスク・痛み・効果・費用についても詳しくご紹介!

出産は陣痛や破水により始まります。

しかし、破水をしたからと言って必ず陣痛が来るわけでもないですし、陣痛がきたからと言って必ずお産が進むわけではありません。

また、出産予定日を過ぎてしまうと医師から分娩誘発剤・陣痛促進剤を使って出産しましょうなんて言われることもあるんです。

では、分娩誘発剤・陣痛促進剤はどのようなものなのか、他にも用いられる方法や注意点などについてご紹介していきます。

分娩誘発剤・陣痛促進剤とは?

分娩誘発剤(ぶんべんゆうはつざい)や陣痛促進剤(じんつうそくしんざい)とは、人工的に子宮の収縮を促して陣痛を起こす薬剤で子宮収縮剤とも言われています。

計画出産などで陣痛がもともとないところから、陣痛を起こさせる場合に分娩誘発剤と呼ばれ、微弱陣痛で陣痛を強くするために使用する場合を陣痛促進剤と呼んでいます。

分娩誘発剤や陣痛促進剤は使用される薬剤は同一で、呼び方が違うだけなのです。

分娩誘発剤・陣痛促進剤が使用される理由

微弱陣痛

陣痛開始後に陣痛が弱かったり陣痛の間隔が長くなったりなど有効な陣痛にならずに出産が長引いてしまうこと。

破水から24時間経過しても陣痛が来ないとき

陣痛が来る前に破水をしてしまうことを前期破水と言います。破水後48時間以上経過してから出産になった赤ちゃんは、24時間未満で出産になった児と比較して新生児の感染症の発症率が高いとの研究もあります。絨毛膜羊膜炎(羊膜・臍帯・胎盤に感染が起きること)や羊水が減ってしまうと赤ちゃんへのストレスにより胎児機能不全になる場合があります。その予防のため、破水後24時間内に自然に陣痛が来なければ、分娩誘発を積極的に行なう施設が多くあります。

過期産

医学的に妊娠37週0日~41週6日の間を「正期産」としています。妊娠40週0日を出産予定日としています。予定日を過ぎると羊水量の変化、胎盤機能の低下が生じることがあり、妊娠42週に入っても分娩に至らないものを「過期妊娠」といい、過期妊娠は赤ちゃんへのリスクを伴うため、一般的に妊娠42週0日以内に出産ができるように妊娠40週後半〜妊娠41週にかけて計画的に出産できるよう分娩誘発剤を使用します。

早めに出産した方がいい場合(胎盤機能不全・胎児機能不全・妊娠高血圧症候群・巨大児疑い・子宮内感染・母体疲労など)

胎児機能不全や胎盤機能不全では、赤ちゃんにストレスがかかった状態になっています。そのため、経膣分娩が可能な状況で陣痛のストレスに対して赤ちゃんが耐えられる場合のみに分娩誘発剤や陣痛促進剤を使用される場合があります。

妊娠高血圧症候群による母体の血圧上昇、子宮内感染により母子ともに発熱や感染の兆候が見られる場合、赤ちゃんの推定体重が大きく出産がこれ以上大きくなると難産と予測される場合、母親が陣痛などにより疲労が強く出産が停滞したり有効的な陣痛に至らない場合などの際にも分娩誘発剤や陣痛促進剤が使用されます。

分娩誘発や陣痛促進のために用いられる方法や使用される薬剤

計画分娩で子宮の入口がまだ開いてきていない場合は、点滴による陣痛促進剤では効果が得られにくい場合があります。

点滴での陣痛促進剤を使用する準備段階として子宮の入り口を人工的に開かせる方法をがあります。

卵膜剥離

妊婦さんの間では「内診グリグリ」と言われていることもあります。内診により、卵膜を剥離して刺激をすることで、陣痛が来やすくなる場合があります。

子宮口が軟らかくなっている場合はそれほど痛くありませんが、子宮口が硬かったり後ろの方にある場合は痛みを伴います。

ラミナリア桿(子宮頸管拡張器)

ラミナリア桿は海草でできています。子宮の入口に留置し、周囲の粘液や帯下により水分を吸収して12〜24時間経過すると使用前の3〜4倍に膨張していきます。

そのためゆっくり時間をかけて子宮口を開かせる事ができます。

留置時は少し痛みを伴う場合があります。ガーゼを1枚膣内に入れておき、落下を防止します。

また子宮口の開き具合によっては数本〜数十本留置する場合があります。異物の挿入のため施設によっては予防的に抗生剤を内服する場合があります。

ほとんどの場合は翌日に抜去します。子宮口の開き具合によっては数日間入れ替えをして子宮口を開かせる場合があります。

トイレや日常生活の動作は可能ですが、シャワーや入浴は不可の施設が多くあります

留置の前後で胎児の元気度を確認するため、NST(ノンストレステスト)というモニターをつけてます。

ミニメトロ

シリコンゴムでできた風船状のものです。子宮の入り口に留置し、バルブから滅菌蒸留水を40ml入れ、水風船状となり、子宮の入り口を開かせます。

留置時痛みを伴う場合があります。留置後は膣の一口から2cm程度シリコン状の棒が出ている状態です。

トイレや日常生活の動作は可能ですが、シャワーや入浴は不可の施設が多くあります。異物の挿入のため施設によっては予防的に抗生剤を内服する場合があります。

留置の前後で胎児の元気度を確認するため、NST(ノンストレステスト)というモニターをつけてます。

子宮口が3cm以上開大してくると自然に脱出してしまう場合があります。その場合は必ず出産施設スタッフに申し出ましょう。

ネオメトロ

留置時痛みを伴う場合があります。留置後は膣の一口から2cm程度シリコン状の棒が出ている状態です。

トイレや日常生活の動作は可能ですが、シャワーや入浴は不可の施設が多くあります。異物の挿入のため施設によっては予防的に抗生剤を内服する場合があります。

留置の前に胎児の元気度を確認するため、NST(ノンストレステスト)というモニターをつけます。また留置後は抜去するまで連続的にNSTをつけた状態になります(トイレ歩行時は一時的に外します)。

子宮口が5〜6cm以上開大してくると自然に脱出してしまう場合があります。その場合は必ず出産施設スタッフに申し出ましょう。

子宮頸管の拡張のためにラミナリア桿・ミニメトロ・ネオメトロなどを使用する場合は必ず、臍帯下垂臍帯脱出(臍の緒が子宮口付近にあるまたは子宮口から脱出している)がないかをエコーや内診で確認、NST(ノンストレステスト)で赤ちゃんのストレスがないかを確認してから留置します。

プロスタグランジンE2(PGE2)錠

1回1錠を1時間毎に6回内服します。

内服の陣痛促進剤のため、赤ちゃんの元気度を常に確認するためにNST(ノンストレステスト)にて連続的モニタリングを実施します。

喘息の既往がある場合は症状を増悪させる可能性があるため使用禁忌になります。

プロウペス

2020年より使用開始となった子宮頸管熟化剤。薬剤を含んんだ親水性ポリマーと取り出し用の紐でできており、薄いタンポンのようなもの。プロウペスを最長12時間膣内(後膣円蓋)に留置し、プロウペスに含まれているプロスタグランジンE2が作用し子宮収縮を起こさせ、子宮頸管を軟らかくし開大させる作用があります。

留置後は30分安静にし、その後トイレや日常生活の動作は可能ですが、シャワーや入浴は不可の施設が多くあります。異物の挿入のため施設によっては予防的に抗生剤を内服する場合があります。

留置前には赤ちゃんの元気度を常に確認するためにNST(ノンストレステスト)にてモニタリングを実施します。また留置後は抜去し子宮収縮が落ち着くまで連続的にNSTをつけた状態になります(トイレ歩行時は一時的に外します)。

喘息の既往がある場合は症状を増悪させる可能性があるため使用できません。

プロウペスの使用で陣痛がきて出産に至る場合もあります。

点滴の陣痛促進剤は2種類あります。

プロスタルモン・F

PGF2aは生理的な子宮収縮作用があり、陣痛を誘発させたり、陣痛を促進させる効果があります。

500mlの点滴に混ぜて使用します。点滴は精密に管理するため、輸液ポンプというものを使用し、1時間に決められた量が体に入るように調節します。

微量から開始し、30〜40分おきに点滴が体に入って行く量を増量して行きます。

喘息がある人は喘息を増悪させる可能性があるため禁忌になります。

点滴実施前には赤ちゃんの元気度を常に確認するためにNST(ノンストレステスト)にてモニタリングを実施します。また点滴中は連続的にCTG(分娩監視装置)をつけた状態になります(トイレ歩行時は一時的に外します)。

NSTとCTGは同一のものです。

オキシトシン

子宮を収縮させるホルモンです。

500mlの点滴に混ぜて使用します。点滴は精密に管理するため、輸液ポンプというものを使用し、1時間に決められた量が体に入るように調節します。

微量から開始し、30〜40分おきに点滴が体に入って行く量を増量して行きます。

点滴実施前には赤ちゃんの元気度を常に確認するためにNST(ノンストレステスト)にてモニタリングを実施します。また点滴中は連続的にCTG(分娩監視装置)をつけた状態になります(トイレ歩行時は一時的に外します)。

NSTとCTGは同一のものです。

体の中で出産の準備が進んでくると、脳の下垂体前葉からオキシトシンという子宮を収縮させるホルモンが分泌されます。オキシトシンが胎盤を刺激し、胎盤からプロスタグランジンF2aというホルモンも分泌されます。

これらのホルモンにより陣痛が開始し、強まります。

プロスタルモン・Fもオキシトシンも陣痛を起こさせるための体から分泌されているホルモンなのです。

陣痛促進剤の使用禁忌

児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう):骨盤が赤ちゃんの頭よりも小さく、赤ちゃんが通過できない可能性がある場合

胎位の異常:骨盤位(逆子)または横位(横向き)の場合

前置胎盤:子宮の入り口に胎盤が覆いかぶさっている場合

常位胎盤早期剥離:赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥がれてしまう病気

重度の胎児機能不全:赤ちゃんの元気がない、苦しいサインがある

過強陣痛:陣痛が強すぎてしまう、陣痛が頻回に来過ぎてしまうと赤ちゃんへの過度なストレスや子宮破裂のリスクに繋がる

過去に帝王切開をした事がある人、過去に子宮を切開する手術をした事がある人:子宮破裂(子宮の壁が破けること)のリスクがある

ラミナリア桿を留置している人、ミニメトロ・ネオメトロを留置してから1時間以上経過していない人、

PGE2錠を内服してから1時間以上経過していない人、過去に過敏症があっった人

人工破膜

人工的に卵膜を破り、破水させること。破水をさせることで、赤ちゃんの頭が下降しやすくなり、出産が進みやすくなる場合があります。

しかし人工破膜後は、急激な出産の進行や羊水量の減少により臍の緒が圧迫されて赤ちゃんの苦しいサインが出る場合があるため、CTG(分娩監視装置)を使用して赤ちゃんの元気度を確認します。

使用する上で知っておきたい注意点

多くの出産施設では産科ガイドライン・医薬品の添付文書のルールに法って実施されます。

実施する際にはご本人・ご家族へ使用する理由や使用上のリスクを説明したのちに同意書にサインをしてから使用する施設が多くあります。

どの方法も医師がその人にとって最適だと考える方法で実施されます。

その方によって、出産の始まりや経過が異なるため選択される方法も様々です。リスクもありますが、お母さんと赤ちゃんが有益で安全に出産できる方法を選択します。

喘息などの既往歴がある場合は使用できない薬剤があるため必ず医師に申し出ましょう。

陣痛促進剤を使用する前段階として、子宮口が開いて来たり軟らかくなる事で薬の効果が得られやすくなります。

そのため、入院直後はラミナリア桿やミニメトロなどを使用して子宮の入り口を開かせる事があります。

子宮口が3〜4cm程度開いてくると陣痛促進剤の効果が得られやすい印象があります。

陣痛促進剤は、使用開始後すぐに陣痛がくるわけではありません。早い人だと開始から1時間程度で子宮収縮や痛みを感じてきます。

そして、自然に来る陣痛のように10分おきの痛みから始まるわけではありません。

突然に5分おきや2〜3分おきなど陣痛と陣痛の間隔が短い状態から来る場合があります。また、子宮の収縮(お腹の張り)のみで痛みを伴わない場合があります。

薬の効き方はかなり個人差があるため、陣痛促進剤を使用したその日に出産できる方も居れば、1週間ぐらい格闘する方もいらっしゃいます。

(もともと出産が進んでいて、微弱陣痛になってしまっている場合は、陣痛促進剤を使用することで陣痛を強めて出産を早くする事ができます)

まずは、子宮の収縮が来て、痛みも自覚して来ると薬が効いて出産に繋がる陣痛が来ている可能性があるため、使用中は子宮収縮や痛みの感覚をしっかり確認しましょう。

陣痛の強さや痛みの具合により、医師や助産師が内診をし、出産の進み具合を確認します。

赤ちゃんの元気度と子宮収縮の頻度を確認するためのモニター(CTG:分娩監視装置)を使用しながら管理します。

スタッフが常に確認していますが、モニターがずれてしまったり、トイレに行きたい場合はナースコールなどで申し出ましょう。

陣痛促進剤使用中、医療スタッフは過強陣痛(陣痛が強すぎてしまうこと)や胎児機能不全(赤ちゃんのストレス)に注意して管理して行きます。

過強陣痛や胎児機能不全が生じた場合は薬の量を減らしたり、中止をすることがあります。

陣痛と陣痛の間に休憩がなくずっとお腹が痛い感覚がある場合は医師や助産師に申し出ましょう。

出産施設によっては、CTGのモニターをつけながら歩いたり、アクティブチェアなどに座ったりなど、出産を進めるために動くことができる場合もあります。施設によって異なるためスタッフに確認しておきましょう。

基本的に陣痛促進剤を使用して、薬の効果が得られない場合は夜間はお休みになる場合が多い印象です。

薬の効果が得られて、出産が進んで来ている場合は点滴を追加して夜間なども継続する場合があります。

痛みのある陣痛がしっかりくる場合は、出産に繋がることが多い印象です。

痛みの場所が変わってきたり、痛みがどんどん強くなるなどの変化がある場合はスタッフに申し出ましょう。

痛みが全く来ない場合は、薬の効果が得られていない状態です。この場合は焦らずに痛みのある陣痛がくるのを待ちましょう。

陣痛促進剤を使用中、赤ちゃんが急に苦しくなり、胎児機能不全となる場合は時々あります。その場合は緊急帝王切開になる場合もあります。

赤ちゃんが苦しい時は、体の向きを変えたり、深呼吸をしたり、点滴や酸素マスクをす場合があります。それでも改善しない場合は、赤ちゃんを元気に出産するために帝王切開になります。

分娩誘発剤や陣痛促進剤は安全に使用するために様々なルールがありますが、お母さんと赤ちゃんを有益かつ安全に出産に導く方法の1つです。

使用上、不安や心配がある際は医師や助産師に確認しましょう。

費用について

一般的に分娩誘発剤・陣痛促進剤は公的医療保険の対象にはなりませんので費用は全て自己負担となります。

方法は様々であり、出産施設により価格設定も異なりますが数万円〜20万円前後が出産費用に上乗せされます。

民間の医療保険の場合は、医師が”異常分娩”と判断した場合、医療保険の給付金請求対象となります。

このように、様々な背景から分娩誘発剤や陣痛促進剤は使用されます。

計画分娩や医師から陣痛促進剤の使用を勧められた場合は、予めどんなものや流れかを知っておくことで不安や心配を軽減できます。

今回この記事を読んだ皆さんは安心して出産に挑めますよ!

分娩誘発剤や陣痛促進剤、正しい情報を知って、母子ともに安全で元気な赤ちゃんを出産しましょう!

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