皆様は胎盤や臍の緒が一体何ものなのかご存じですか?
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お母さんの子宮に貼り付いて成長する赤ちゃんの一部で”胎児付属物”と呼ばれることもあります。
胎盤には血管の束と赤ちゃんに送る血液を沢山貯めておくスペースがあります。
受精卵が着床し、妊娠が成立すると、
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの働きによって着床した部分に絨毛というものができます。
絨毛ができた部分は成長するにつれて厚みを持ち、妊娠7週頃から胎盤として器官を作り始めます。
胎盤は妊娠16週頃に完成して、様々な役割を担う器官として機能します。
完成する頃は約100gの胎盤が、赤ちゃんとともに成長して、出産する頃には5〜6倍の大きさになります。
胎盤が完成するまでは、赤ちゃんは卵黄嚢という部分から栄養を補給して成長していきます。
胎盤が完成すると、卵黄嚢から胎盤へ栄養補給先を切り替えて、お母さんから直接様々な栄養を受け取るため、
16週以降は赤ちゃんの成長スピードが速くなります。
胎盤が完成すると、赤ちゃんの体調や赤ちゃんの育つ環境が整ってくることから『安定期』と呼ばれる時期に入ります。
①お母さんから赤ちゃんに栄養を届ける働き
②赤ちゃんにとって不要な老廃物をお母さんの血液に戻す働き
③酸素を供給し二酸化炭素を排出する働き
④妊娠を継続するためのホルモンを分泌する働き
お腹の赤ちゃんにはまだ内臓器官の働きが備わっていないため、
産まれて来るその日まで赤ちゃんに必要な臓器の役割や栄養や酸素供給と老廃物を排泄するためのフィルターのような働きがあり、
絶えず赤ちゃんに血液を送り、赤ちゃんの生命の維持のために大切な役割を担っています。
分子量が小さいものは胎盤を通過してしまいます。
妊娠中は全期通してになりますが、
・薬の服用(医師の指導の下で行いましょう)
・タバコに含まれるニコチン
・アルコール、カフェイン
上記は分子が小さいため、胎盤のフィルターを通過してしまいます。
妊娠がわかったら、または妊娠を考える前に控えておきましょう。
胎盤を通過してしまうことでのいいこともあります。
IgGと呼ばれる抗体も胎盤を通過します。
お母さんが持っている抗体が赤ちゃんに移行するので、
徐々に減少しますが生後6ヶ月ぐらいまでお母さんが持っている抗体が付いた状態になります。
胎盤が大きいと赤ちゃんも大きめ、小さいと赤ちゃんも小さめな傾向があります。
胎盤の大きさは赤ちゃんの産まれてくる体重の5分の1から6分の1程度とされています。
平均500g程度ですが、800gを超えるものもあれば、双子ちゃんの場合は1kgに及ぶこともあります。
バースプランに”胎盤が見たい、触りたい、写真取りたい”と伝えれば、
出産後にご自身の胎盤を見たり触ったり、写真を撮ったりできる施設もあります。
常位胎盤早期剥離
赤ちゃんが産まれる前に胎盤が剥がれてしまうこと。
お母さんも大量出血の危険があり、赤ちゃんも生命維持の胎盤からの酸素や栄養供給が途絶えるため母子ともに非常に危険な状態になります。
明らかに多め出血や急激なお腹の痛みで気がつくことがあります。
前置胎盤・低置胎盤
胎盤が子宮の入り口を覆ってしまったり、胎盤が子宮の入り口付近の低い位置にあることを言います。
上記の場合、出産中に胎盤が剥がれてしまったり、出血が多くなる危険があるため帝王切開での出産になります。
胎盤機能不全
胎盤の機能が低下し、赤ちゃんに十分な栄養や酸素が届かなくなり、赤ちゃんの発育や健康状態に影響することがあります。
そのために胎動がいつもより少なくなったり、感じにくくなることで発覚することがあります。
癒着胎盤
赤ちゃんが産まれた後に胎盤が剥がれないこと。
赤ちゃんが産まれた後に発覚することが多くあります。
急なお腹の痛み、大量の出血、胎動減少があるときはかかりつけの出産施設に連絡しましょう。
皆様は臍の緒とイメージすると硬く、茶色く、カピカピになったものを想像しませんか?
臍の緒を取っておくようになったのは江戸時代からと言われています。
大切に保管しておく理由は昔から地域により様々な迷信や風習があるようです。
・薬になる、命を救う
臍の緒を煎じて飲ませる、すりつぶして飲ませると持ち主の怪我や病気が治り命が救われると言われていました。
・生命力がある
失くしてしまうとその持ち主が病弱になったり、物覚えが悪くなったりすると言われていたために保管していました。
・お守りになる
自分のものではなく兄弟姉妹の臍の緒を持つことで魔除けや厄除けなどになると言われていました。
・夜泣きがやむ
夜泣きがひどい時、赤ちゃんに臍の緒を舐めさせると夜泣きがやむと言われていました。一部の地域ではトイレに吊るすと夜泣きがやむといわれていました。
様々な迷信や風習がありますが、これらは科学的根拠のない迷信です。
お母さんと赤ちゃんを繋ぐ臍の緒にはたくさんのパワーがあることを昔の人も感じ、臍の緒を大切に保管していたことがわかりますね。
現在では臍の緒は
お母さんのお腹の中にいた証
お母さんと赤ちゃんの絆の象徴
出産の記念
として大切に保管されています。
では保管されている臍の緒は赤ちゃんのお腹の中ではどのような姿なのでしょうか?
”臍帯”や”胎児付属物”とも言われています。
臍の緒はお腹の赤ちゃんのお臍から胎盤までを繋ぎ、胎盤を介してお母さんとを繋ぐための血管です。
臍の緒の中は2本の動脈と1本の静脈の計3本がひも状になっています。
これらの血管を保護するためにWharton(ワルトン)膠質と言われるクッションが周囲を包み、さらに膜で覆われています。
お母さんは胎盤を介して赤ちゃんに臍の緒の静脈から酸素や栄養などを送り、赤ちゃんはお母さんに臍の緒の動脈から老廃物や二酸化炭素を送る役割をしています。
臍の緒は伸縮性に富み、圧迫にも強いという特徴があります。
なのでお腹の中の赤ちゃんが動いても、基本的に切れることはないですし、赤ちゃんが臍の緒を踏んだり握ったりしても大丈夫なようになっています。
時々赤ちゃんの体で圧迫してしまうことがありますが、赤ちゃんが動いたりお母さんが体勢を変えることで圧迫が解除されるのでほとんどの場合は問題ありません。
臍の緒には神経が通っていないため、赤ちゃんは産まれた時に臍の緒を切っても痛くありません。
平均的な長さは50cmくらい(個人差があり25〜80cm程度が多い)
短かったり、長かったりすることでそれぞれ影響が生じることがあります。
25cm以下の短い場合
分娩時になかなか赤ちゃんが下に降りてきてくれなかったり、赤ちゃんが苦しくなったり、胎盤が無理に剥がれることがあります。
70cm以上と長い場合
赤ちゃんの首や体に絡まったり、結び目ができてしまうことがあり、赤ちゃんが苦しくなることがあります。
これらは、出産の時につけるモニターや出産の進み具合で予測することができます。
臍の緒を流れる血液を”臍帯血(さいたいけつ)”と言います。
出産時に臍帯血の検査をすることで、産まれた時の赤ちゃんの苦しさやストレスのかかり具合などを評価する情報の1つになります。
また、血液型不適合妊娠(Rh–の方)や甲状腺疾患がある型なども必要な情報が得られます。
臍帯血は赤ちゃんのものです。
臍の緒の血管が胎盤に繋がり、栄養や酸素、老廃物や二酸化炭素を交換します。
お母さんと赤ちゃんの血液が混ざることはありません。
また臍帯血には、血液細胞のもとになる細胞が多く含まれていて、出産の時に保管し、
血液の病気の治療に使用したり、脳性麻痺の治療に使われたりしています。
まだ研究中なこともありますが、再生医療への活用にも期待されています。
臍の緒は医師や助産師がカットします。(臍の緒を切る行為は医療行為になります。)
出産施設によっては医師や助産師の指導のもとご家族にカットさせてくれるところもあります。
赤ちゃん側の臍の緒は専用のクリップで止めます。
乾いてポロっと取れたもの、これが保管されている臍の緒です。
出産施設によっては長めに取り置きをしてくれるところもあります。
臍の緒のイメージ、少し変わりましたか?
臍の緒って深いですよね✨
お腹の中ではこんな感じ
胎盤の形や大きさはみんなそれぞれ違います。
たまにハート型の人もいますよ❤️
胎盤と臍の緒、素晴らしい役割を果たしていますよね‼︎
赤ちゃんを育てるために本当に大切な働きをしています。
出産後、もしも見れるならご自身の胎盤と臍の緒を是非見てみてください‼︎
きっといい経験になるはずですよ‼︎
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